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どうして沖縄へ来たのか?知り合うごとに尋ねられるお決まりの質問に対し、それまでの私はその都度違う返事をしていた。一つの答えをすると、次の瞬間「本当にそうなのか?」という疑問の声が内側から沸きあがるのだ。嘘ではないのだが、言った本人が真実だとも思えないのだから始末が悪い。そのように一度発した疑わしい答えを再度するのに躊躇し、思案した挙句別の答えをほじくり出す。その繰り返しにも拘らず、新しい答えは絶えることがなかった。
求美の窮状を聞きながら、そんなことがあるのかという驚き、あまりに気の毒だという同情、なんとか力になれないかという正義感などが通り一遍等に巡った後、「どうして沖縄へ来たのか?」への新しい答えが出てこなくなっていた。腋の下にどす黒い汗が滲み出てきた。体内の水分が出きってしまうのではないかと恐れ、半面期待もする自分。驚きも同情も正義感も、それまでの百通りの回答もすべてデタラメだ。そしてそれがおまえの人生だ。そんな声に掻き乱された。
気がつけば、浪堅のことを求美に話していた。「どうして沖縄へ来たかの答えにはなっていないが」と前置きをして。『ドクター・ウーの飼い葉桶』の魅力について、誰かに伝えたいのだと。
求美はしばらく黙ったまま歩いていたが、赤信号で立ち止まった交差点で、こちらをまっすぐ見つめ、そしていった。
「あなたとなにか交換できないかしら」
その夜、われわれは前島の怪しげな店でしこたま飲み、天久のカラオケボックスで『喝采』をデュエットし、屋富祖の求美のアパートへなだれ込んだ。下になった求美は私の頭を両手でわしづかみ、火照った胸に圧しつけたが、私がいざ中に入ろうとすると右手でそれを掴み、玩んだ。これまで経験したことのないその触角に、私の体液は嗚咽するように発した。
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